誰が言ったかは知らないが、「もう世界の詩は書き尽くされた」という言葉を聞いたことがある。
また、言葉を使う職業柄からか、私も時折「現代ほど詩が相応しくない時代はない」と、厭世的に思いがちになることがある。
しかし、そんな現代にあっても、詩が生まれる土壌は健在だった。萩原朔太郎の「こころ」に触発されて、宮崎吾朗監督が作詞されたというこの『テルーの唄』は、せわしなく動き回る亡者のような現代人への鎮魂曲(レクイエム)のようでもあり、精神の貧困にあえぎ苦しむ人類への子守唄のようにも聴こえたり、まっとうに生きようとして孤独にもがく人々の心の叫びを代弁し、あるいは、そんな孤独な人に寄り添って、一人想いを馳せるような、太古の万葉集の恋の歌、愛の歌のようにも聴こえる。
これほど深い慰めを与えてくれる唄を、私は他に知らない。(個人的に「癒し」という言葉をあまり好まないので、あえて「慰め」と言いたい。)
そして地母神に抱かれるような安堵感や、幾億の細胞が知っている、はるか昔のことを思い出すような懐かしさを感じる。
初めて聴いた時、思わず涙が出そうになった。
透き通っていて伸びやかな声。そして切なくも力強い詩。
言葉を歌っているというより、音が自然な形で風に乗って流れてきた。
そんな感じがした。
私のイメージとしては夕焼けのような声。
太陽は沈んでいっているけれど声は沈まず、ただ流れていく…
素晴らしい…!心の奥底を大きく揺さぶられる感覚。
こんなうたは初めてかも知れない。
新人のはずなのにそれを思わせない声の貫禄…。
バックに音がほとんど入らずほぼソロ状態なのに、彼女のうたは濁らない。
〜夕闇迫る雲の上 いつもひとりで飛んでいる
鷹はきっと悲しかろう〜
フレーズはひとつひとつが風のよう、暖かい声は夕焼けの声…。
まるで、子守唄のような、哀愁や優しさを秘めた唄です。
歌詞もとても素晴らしいです。寂しさや不安、なんともいえない愛しさを鳥や花にたとえ、優しく語り掛けてきます。
『命の子守唄』といっても過言ではないと思います。魂を優しく撫でるような、そんな優しい曲です。
手嶌 葵のデビューシングル。2006年公開、スタジオジブリ宮崎吾朗第一回監督作品「ゲド戦記」の挿入歌。萩原朔太郎の詩「こころ」に着想を得た宮崎吾朗監督が作詞、NHK「みんなのうた」などでも知られる谷山浩子が作曲。どんな言葉も追いつかない、彼女のすばらしい歌声は、時に切なく時に優しく、聴くものの気持ちを掻き立て虜にして行きます。心に深く沁みいるその歌は、懐かしさと切なさを現代人の心に覚えさせる現代のフォークソングとも言える楽曲に仕上がっている。【手嶌 葵さんからのコメント】
「テルーの唄」は「ゲド戦記」の挿入歌です。
『「テルーの唄」を好きです』と言って下さる方の様に私も宮崎吾朗監督の素敵な詞と谷山浩子さんの綺麗なメロディーが大好きです。 小さな頃から大好きなスタジオジブリの作品の歌を歌える、そのひとつの作品がたくさんの素晴らしい方々の力によって出来上がっていくのを見られてとても幸せです。
【アーティストについて】 2006年6月7日「テルーの唄」にてデビュー。「ゲド戦記」の挿入歌「テルーの唄」の歌唱を行い、また劇中ヒロイン<テルー>の声優も担当する。 2004年と2004年に、出身地である福岡で行われたTEEN'S MUSIC FESTIVAL協賛「DIVA」に出場。その歌声が聴衆を魅了したものはもちろん、2005年の3月には韓国で行われたイベント「日韓スローミュージックの世界」にも出演し好評を博した。その当時の彼女の歌が、スタジオジブリ鈴木プロデューサーと、今回の「ゲド戦記」の監督でもある宮崎吾朗氏の耳に届く事になり、デビューへの足掛かりとなった。



芝って言います。
「テルーの唄」凄く耳に入ってきますよね。ふと、口ずさんでる自分もいます。
久し振りにイイ唄に巡り会えた気がします。
映画を見た翌日に、やっぱりゲド戦記の本を買おうと思って書店で本を見ていたら、本を並べてある横の映画のプロモーションビデオでやはり「テルーの唄」が流れていて、偶然やって来た小学生か中学生くらいのグループが「テルーの唄」に合わせて唄を口ずさんでいました。
印象に残るいい歌ですよね。
実は、娘にもCDせがまれています。(・・;)