スター・ウォーズ エピソード3 / シスの復讐
全エピソードが心に残る46と違い、本三部作では、エピソード1、2は痛快ではあるものの、エピソード3への通過点に過ぎないことから、感動には到らないものでした。しかし、完結編であるエピソード3には、1、2と違い心に残る描写が多数あります。
46中の、独裁体制支配下の宇宙の描写には極めて現実味がありましたが、本作で描かれる、独裁体制の誕生過程、独裁者に付け込まれたアナキンの苦悩、翻弄され滅ぼされるジェダイたちの姿にも極めて現実味があります。20世紀を振り返っても、独裁者は極めて冷酷かつ狡猾に権力を手中に治めました。
民主主義を担ったジェダイを切り捨てるやり口は、革命に献身した勢力を粛清したレーニンやホメイニのやり口に酷似しますし、民主主義の欠点を巧につくやり口は、チェコスロバキアやパキスタンや韓国の軍事クーデターを彷彿とさせます。長時間かけて洗脳されたアナキンの姿は、中国、カンボジア、リベリアで大量虐殺の尖兵と化した子供たちや、無差別テロを引き起こしたイスラム諸国や北朝鮮の若者を彷彿とさせます。共産主義国家の誕生前後で、無数の犠牲者が生まれましたが、各国の民主化実現には何十年も待たねばならなかった。
そして共産主義が崩壊した現在でも、独裁体制は世界中に存在する。独裁体制下で今なお苦しむ人々の姿が、本作の登場人物の姿と重ね合わせて、私の頭に浮かんできました。
民主主義崩壊時のソ連や東欧と同様、本作中で滅ぼされる共和国の描写は絶望に満ちていますが、アナキンやオビワンやヨーダを始め、絶望が迫る中懸命に闘い抜き、滅ぼされたジェダイ1人1人の姿が、私の頭に焼き付いています。快作であるものの重みはない前作までと違い、独裁体制に滅ぼされる人たちの姿をこれだけ壮大なスケールを持つSFで描き切った本作は、間違いなく歴史に残る傑作になると思います。

<ストーリー>
前作『エピソード2』から3年、共和国と分離主義者の戦争は全銀河に拡大し、ジェダイもクローン軍を率いて、各地でドロイド軍と激闘を展開していた。そんな折り、分離主義者の司令官グリーバス将軍がパルパティーン最高議長を拉致する事件が発生し、オビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーが救出に向かう。アナキンの活躍で無事、最高議長の救出に成功したものの、アナキンはジェダイの掟=師匠であるオビ=ワン・ケノービへの忠誠と秘かに結婚し妊娠した妻パドメとの愛、そしてシスの強大なパワーの誘惑との間で悩み苦しんでいた。そしてついには、アナキンはジェダイに反旗を翻し、ダークサイドへと転落、ダース・ベイダーへと変貌を遂げる。シリーズ完結、いまダース・ベイダー誕生の秘密がついに解き明かされる。